金沢21世紀美術館 開館記念展覧会 『21世紀の出会いー共鳴、ここ・から』

21世紀の出会い―共鳴、ここ・からまいど、終了間近の展覧会ばかりのような気もしますが、何事も締め切り間近にならないとやらない性格なもので…
そんなことはさておき、金沢まで金沢21世紀美術館のオープニング展覧会を見に行きました。現代アートの名だたるアーティストが参加した展覧会で、しかもかなり大物が多くて見ごたえがありました。目玉が誰ということはなく、ゲルハルト・リヒターマシュー・バーニーなどメジャーな作家がたくさん出ているという感じ。昨年末に結構な展示換えがあったらしくジェームズ・タレルなど見れなかったものも多かったものの、全体としてはかなり楽しめた感じ。
とくに、レアンドロ・エルリッヒの“レアンドロのプール”やパトリック・トゥットフオコの“バイサークル”といった体験型の作品が面白かったし、強い印象を与える作品が多かったという気がする。
なかでも、すごいと思ったのはゲルハルト・リヒターの“8グレイ”8枚の巨大なグレーのパネルが部屋の両側の壁にかかっているだけという作品で、その部屋に入ったときには、自分の姿が薄く写った巨大な暗い鏡が並んでいるだけのように見えるが、そこに何か違和感がある。8枚のそのパネルが微妙に異なっているような印象を受けるのだ、色合いの微妙な違いか、大きさの微妙な違いかと思うが、熟視してみても、その違いを見分けることはできない。しかし、部屋の中心に立ち、片面4枚のパネルを同時に見ると、反射された像が微妙にゆがんでいるということに気づく。それは、パネルがかけられた角度が異なっているのだ。そのパネルは4本の支柱で壁に固定されているのだが、その支柱の長さが違っており、そのパネルが壁に対して傾いている。そのせいで斜めに反射することになるのだ。
このように言葉で説明しても何のことやらいまいち伝わらないというのが、まさに体験型の現代アートの面白さであり、そこに何かを感じ取ることができるのだ。

↓カタログは市販されています。(表紙も展示作品)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4473032094/hibikoreeiga-22


美術館のほうは上から見るとまん丸という建物。しかし通路は直線で、かなり複雑な構造をしている。印象的だったのは企画展が行われている部分と、無料では入れる部分が明確に区切られておらず、ガラス越しに中の作品が見れたりするということ。これは、この美術館が持つ開放性の一つの例だろうと思う。
この美術館は無料のスペースが多く、気軽によって気軽にアートに触れることができる。なんとジェームズ・タレルの部屋が無料ゾーンにある。美術館のマークがいろいろな服になるというA−POCの展示などもある。ちなみに、美術館の制服のデザインはIssey Miyake by Naoki Takizawa。
全体的にはすごくいい美術館、街自体もすごい勢いで再開発というか、街区整備が進んでいるようで、金沢はすごく面白いところかもしれないと思った。