2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

物語の源泉としての死『グラスホッパー』

鯨、蝉、槿という奇妙な名前、自殺させ屋、殺し屋、押し屋という奇妙な職業。それらに共通するのは人間ではないものの名前と、人を死に導く職業である。この物語はずっと死と隣接し続けて、まるでそこの見えない崖の淵を歩き続けているかのような緊張感に覆…

生々しい心の傷跡『砕かれた神』

これは少年兵として海軍に志願し、ミッドウェー、マリアナ、レイテ沖の海鮮を経験し、ほとんど生存者のいなかった戦艦武蔵から奇跡的に生還し、復員した若者の戦後のおよそ半年間を綴った日記である。そこに描かれているのは、百姓としての日々の生活とやる…

終戦記念日に靖国神社へ

終戦から60年の8月15日、生まれて初めて靖国神社に行ってみることにする。戦後六十年ということでその戦争に関する映画をいろいろ見て、いろいろ考えて、その考えたことが私を漠然と終戦記念日の靖国へ導いた。 予想通りではあるが、神社にたどり着く前から…

スープカレーってどう?

五反田にある「かれーの店うどん」に行く。カレーの店なのに「うどん」ってという当たり前の疑問が浮かんだものの、ライブドア・グルメの評判がよかったのでとりあえず食べてみることに。 スープカレーの店なので、おすすめと書いてあった「夜のスープカレー…

原爆へのまなざし『新藤兼人・原爆を語る』

この本は映画監督新藤兼人が、自身が作りあるいは作ろうとしている原爆にまつわる映画について語った本である。最初に来るのが『原爆の子』、この作品は1952年に撮られた、事実上の日本初の原爆映画であった。その撮影と資金繰りに関する苦労話がその中心に…