『リリー&ナンシーの小さなスナック』 リリー・フランキー、ナンシー関著 文芸春秋社 2002年

小さなスナック古本屋で購入
雑誌クレアに連載されていたリリー・フランキーナンシー関の対談をまとめた単行本。連載期間は約2年で、ナンシー関の急逝によって連載中止となってしまった。内容はなんともゆる〜い内容の世間話で、ナンシー関の毒舌にリリー・フランキーが乗っていき、どうでもいいことをただただ語る。しかし、どこかやさしさと暖かさをもった雰囲気が全編にわたって表れていて、読んでいて心地よい。

私はリリー・フランキーが好きでこの本を手に取ったわけだが、この本を読んでみてリリー・フランキーナンシー関には通じるところがあると感じる。それは「やさしさ」である。ナンシー関といえば、消しゴム版画であり、毒舌家という印象があるのだが、その毒舌は決して毒を吐く相手を傷つけようとか、相手を引き摺り下ろそうというものではなく「愛」なのだ。毒を吐く相手というのは実はナンシー関が好きな人たちなのであって、好きだからこそ毒を吐いて一緒に笑おうとしているのではないかと思うのだ。
どうしても、ナンシー関の“遺作”となってしまったということでそんな感想が頭をよぎるわけだが、基本的にはどーでもいいことを話しているわけだ。たとえば何の話かといえば…… 思い出せない… という程度の話しなわけで、しかし読んでる間はニヤニヤしぱなっし、どーでもいい話のポケットをたくさん持っている人同士の会話ってのはこうも面白くなるもんかねと感心したりして、読んでいるほうの時間もゆる〜く過ぎて行く。
でも、ボリュームはかなりのもので、全部読むと何かに当たった感じがしてどっと疲れが… それはやはりどこか楽屋落ちというか内輪ネタとでもいうような部分が多分にあって、読む人が読めばうじうじしたつまらない繰り言と読んでしまうんだろうし、万人に勧められるものではないなと思ったりする。
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3/9の「ほぼ日刊 日々是映画」
溝口健二監督『噂の女』
出演:田中絹代久我美子
http://www.cinema-today.net/0503/09p.html