『毎日かあさん カニ母編』

おもしろくってあたたかい
私はあまりマンガは読まないのだが、西原理恵子は好き。西原理恵子は『ぼくんち』系統のホロリとさせるマンガを描く一方で『まあじゃんほうろうき』のようなギャンブルマンガや『鳥頭紀行』のようなルポものではとにかく毒舌を吐く爆笑マンガを描く。この『毎日かあさん』はどちらかといえば自分の子供をネタにし、時に自分のことを自虐的に描いた爆笑系のマンガだが、子供たちへの愛情や昔の思い出を描いた部分からは詩情が滲み出す。つまりはふたつの面を持つサイバラの両面が混ざり合うように表現されたマンガで、すごくいいということ。
そのふたつが共存するサイバラから見えてくるのは彼女がとても優しく、根っからの“かあさん”であるということだ。『上京ものがたり』でも描かれているようにいつもダメな男ばかり拾ってきてしまうのも、彼女の“かあさん”っぷりのひとつであり、豪快にギャンブルに金をつぎ込むのも度胸の据わった“かあさん”の一面なのだろうと思うのだ。だから、この巻の最後が「何度うまれかわっても おかあちゃんがいいや。」という言葉で終わっているのがすごくしっくり来た。
毎日新聞に連載されたということで今までは西原理恵子の名前なんて知りもしなかった読者層が読むようになっただろうし、おまけに手塚治虫文化賞まで獲ってしまったが、サイバラはどこまでいってもサイバラであり、このマンガに表れているのはそのサイバラの最良の部分なのだと思う。

備考
古本屋で購入
概要
西原理恵子が2002年10月から毎日新聞で週一回連載している子育て日記「毎日かあさん」の単行本の一冊目(最近2冊目の『毎日かあさん2 お入学編』が発売された)。ふたりの子供との日常を面白おかしく描いた爆笑マンガ、時々ホロリ。
リンク
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/462077054X/hibikoreeiga-22

「ほぼ日刊 日々是映画」たち

5/28
ジョン・カーペンター監督『ゼイリブ
出演:ロディ・パイパー、メグ・フォスター
http://www.cinema-today.net/0505/28p.html

5/27
鈴木清順監督『オペレッタ狸御殿
出演:チャン・ツィイー、オダギリ・ジョー、由紀さおり
http://www.cinema-today.net/0505/27p.html

5/25
ウェイン・ワン監督『スモーク』
原作;ポール・オースター
出演:ハーヴェイ・カイテルウィリアム・ハート
http://www.cinema-today.net/0005/31p.html