『kihachi フォービートのアルチザン 岡本喜八全作品集』

岡本喜八の全て、と言ってしまっては大げさだが、とりあえずこの作品が出版された92年当時までの全てを収録しようという意欲は感じられる。豊富なデータとインタビューで岡本喜八像を明らかにしようという姿勢はとても面白い。
作品の解説は微に入り細を穿ち、スタッフやキャストの詳細データだけでなく、各作品ごとに監督の発言や新聞などに載った当時の批評なども収録されている。面白いのは岡本喜八作品に関わった人々に対するインタビューで、カメラマンの村井博や俳優の仲代達矢天本英世らの声がのっている。
岡本喜八に関して研究したり解説したりという本というよりは、岡本喜八好きの人が作品をより深く観て、自分なりにいろいろ考えるための資料として非常に面白い本ということになるだろう。もちろん、これから岡本喜八作品を観たいという人にも助けになることも確かである。読み物として一気に読むというよりは、手元においておいて、作品を観たときに参考にするという読み方をする本だと思う。

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