『落語三百年 昭和の巻』 小島貞二著 毎日新聞社 1979年

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『落語三百年』3巻本の3冊目。話は昭和となってグッと身近になる。最初の「戦争と落語」という章で戦争が落語という芸能にまで及ぼした影響が語られ、そのあとでいまはもう古典の仲間入りをした「代書」など昭和の代表的な新作落語を収録している。落語なんだかナンなんだかわからない昭和の爆笑王三遊亭歌笑の「純情詩集」なども収録。
今はもう昭和が終わって十数年がたったわけだが、この本が最初に書かれたのは昭和41年、昭和の終わりの予感どころか、もっとも昭和らしい時代だったといえるだろう。そんなリアルタイムの昭和の落語について書くというのは非常に難しく、後書きでは最初の版が出たあといろいろと意見を言われることもあったと書いてある。しかし、今から見れば、昭和の前半について書いた本としては非常に優れた本なのではないかと思う。特に、第二次大戦を挟んだ時代の落語界についての記述が豊富でなかなか語られることが少ない戦争と落語というものの関係についての非常に貴重な資料となる。
噺としては「代書」がやはりおもしろい。代書屋なんてものももうすっかりいなくなってしまい、この噺もすっかり古典となってしまったわけだが、これが新作として作られた当時の空気がこの本に収録された桂米団冶の速記からは感じられて面白い。

5/2の「ほぼ日刊 日々是映画」
ビリー・ボブ・ソーントン監督・主演『スリング・ブレイド
出演:ルーカス・ブラック、ロバート・デュヴァル
http://www.cinema-today.net/0505/02p.html