SF

機械という他者との対決『大いなる天上の河』

グレゴリイ・ベンフォードによる外宇宙を舞台にしたSF作品。場所は明らかではないが、人間と機械が対立する世界、人間は機械の勢力に圧され、根拠地を破壊され、さすらうことを運命づけられるようになってしまった。その集団の中のひとりキリーンが語り手…

SFファンなら…『オルタード・カーボン』

人間の個性/アイデンティティがスタックと呼ばれる記憶素子に詰め込まれ、それが脳に接続される。そのスタックを入れ替えれば、スリーブと呼ばれる肉体を代えても人格は変化しない。そんな未来世界の設定がまず面白い。脳移植などによって不死の肉体を手に…

SFを越えた名作『夜の大海の中で』

地球外生命体と接触するというのはSFの王道中の王道、SFといえば、宇宙人との遭遇と言っても過言ではないほどである。そして、この小説もその地球外生命体との接触を描いた小説であるわけだが、しかしいわゆる宇宙人ものとはまったく違っている。主人公…

『タイタンの妖女』

運命とは… この物語は運命に翻弄される一人の男と、その運命を見通すことが出来るもう一人の男の物語である。基本的に、その運命に翻弄される男マラカイ・コンスタントはその運命に従順で、はむかおうとはしない。それに対して運命に翻弄されるもうひとりビ…

『しあわせの理由』 グレッグ・イーガン著 創元SF文庫 2003年

古本屋で購入 グレッグ・イーガンの日本オリジナル短編集の2冊目。作品の発表年代は1990年から99年まで90年代全体を網羅している。グレッグ・イーガンが活躍し始めたのは80年代の末だから、イーガンが作家として成長して行った90年代のエッセンスを集めた作…

『アルファ系衛星の氏族たち』フィリップ・K・ディック著 創元SF文庫 1992年

古本屋で購入他にいろいろ読まなきゃいけないものがあって、こんな文庫を読むのに2週間もかかってしまった。途中で一週間ばかり時間が空いたせいで話がわからなくなって、ちょっと戻って読み直したせいもあるけど。 ともかく、話はアルファ星という太陽系外…

『1984年』 ジョージ・オーウェル著 ハヤカワ文庫 1972年

古本屋で購入 いわずと知れたSFの古典的名著。オリジナルは1949年に書かれ、35年後の世界を想定し、世界が3つの社会主義超大国によって成り立っている世界を描き出した。テレスクリーンという双方向のスクリーンによって行動のすべてが監視される社会、主…

『順列都市』 グレッグ・イーガン著 ハヤカワ文庫 1999年

2045年のオーストラリア、ポール・ダラムは自分の脳を完全にシュミレートした<コピー>がなぜすぐにその世界から抜け出そうとするのかを実験によって観察していた。2050年、同じくオーストラリア、マリア・デルカは自然界をモデル化したオートヴァースで分…

『万華鏡』 レイ・ブラッドベリ著 サンリオSF文庫 1978年

古本屋で購入 1965年にブラッドベリの自選短編集としてとして出版された“The Vintage Bradbury”の翻訳。名作の誉れ高い「たんぽぽのお酒」や「刺青の男」「こびと」他全23編。 もともと短編集として書かれたものではないので、書かれた時期もテーマもバラバ…

『月曜日は土曜日に始まる―若い科学者のための物語』 アルカージ&ボリス・ストルガツキイ著 群像社 1998年

プログラマーである主人公は友人と落ち合うためレニングラードから地方都市へ向う。その途中で拾った二人の男に紹介された宿泊場所に落ち着いた主人公は、そこで現実とも幻想ともつかない不思議な体験をする。そして、いつのまにやらそこに現れた人たちのペ…

『スピリット・リング』 ロイス・マクマスター・ビジョルド著 創元推理文庫 2001年

古本屋で購入 「マイルズ・ネイスミス」シリーズで有名なロイス・マクマスター・ビジョルド作のファンタジー。 物語の舞台は、中世のヨーロッパ、金細工師で魔法使いのプロスペロ・ベネフォルテの娘フィアメッタは女の子であることを理由に魔法使いになるこ…

本読みのバイブル『華氏四五一度』

これは本読みのバイブルである! こんな風に読書日記を書くようになって、早々にこんな本に出会ったのはとてもうれしいことだ。トリュフォーの映画『華氏451』はすでに見ていて、その時は今ひとつよくわからない印象だったのだけれど、それもそのはず、この…

『ダブル・スター』 ロバート・A・ハインライン著 創元SF文庫 1994年

古本屋で購入 1964年に『太陽系帝国の危機』という題で同文庫から発売されていた作品の改題・新訳版。売れない役者であるロレンゾが見知らぬスペースマンにその演技力を買われ、あれよあれよという間に火星へと向かう宇宙船に… SFの巨匠の一人ハインライン…